人気ブログランキング | 話題のタグを見る
ブログトップ

ことの葉暦

leafstar.exblog.jp

秋空礼讃

東京は、お彼岸を待たずにすっかり秋めいています。
秋空礼讃_e0170845_13425619.jpg

↑家の近くで、ハナミズキの実がなっているのを見つけました。葉っぱの緑の中の青たちが旅立ち始めている気配がしてきていて、秋っぽくていい感じ。

夏、というと、人も草木も「生きていることを謳歌するぞ!」という感じに、湿気にも熱にも紫外線にもめげずに旺盛に活動する感じがありますが、私は東京の夏がとっても苦手なので、冬眠ならぬ夏眠状態になってしまいます・・・。
これでも子供の頃は、ヴィヴァルディは「四季」の「夏」をどうしてあんな憂鬱な感じの曲にしちゃったんだろう?・・・なんて思っていたものでしたが・・・。きっと、夏休みになったら能登のおばあちゃんの家に行けるし、海にも行けるし(奈良には海がないのです。)、お誕生日もくるし・・・と、楽しいこと満載感が先に立って、気候の加減なんて気にならなかったんだろうな、と思います。
夏休みがあるわけでもなく、お誕生日を待ち遠しく思う歳でもなくなったこの頃。ですが、カレンダーに頼るのではなく、ただ静かに、純粋に、風や光の加減に五感を澄ませて季節を感じようと送る日々を、私はとても気に入っています。だから秋の静けさは大好き。真夏の興奮やちょっとした狂乱を過ぎて、いろんなものがあるべきところにあることを確かに感じていられるような落ち着きが、大好きです。
秋空礼讃_e0170845_135265.jpg

↑これは昨日の空。秋の大気の繊細な筆遣いが描いた雲。
お昼間から安心して心地よくたくさん歩ける気候になりました。夜は夜で、心置きなく窓を開けておけます。乾いて透明の輪郭がはっきりしている空では、月も星たちも鮮やかです。「秋の星空は一等星が少なくて地味」といいますが、瞬きのひとつひとつを愛でていれば、さみしいことなんてありません。
さあ、うんと空をみるぞ。

「今、ここを生きる」ことは、とても大切なことです。でも、だからと言って、足もとばかり見ていても、歩くことは難しいと思うのです。空だとか、樹々の梢だとか、手は届かなくても周りにいてくれるものたちに、心を向けていられる安らかさも、日々生きるために大切なことだと思うのです。

昨日深夜に、開けたままにしていた窓を閉めようとしていたら、東の空にオリオン座が昇っているのに気付きました。秋の先には冬も、ここに来るべく近付いているんだな、と思いました。
わたしたちがいつだってふと気付けるように、そこでもここでもたゆまなく守り続けられている自然の約束。わたしたちが安らかさを見失っても、心を向けることを忘れても、誠実に守り続けられている約束。
きっといつだって、どこかでそれを信頼しているから、わたしたちはここを生きることも、ゆく手を想うこともできるんだなあ、と思いました。ふと気付ける、ということの気楽さに、感謝。

ちょっと待ってみたのですが、低いところに雲がかかっていたこともあって、さすがにシリウスが昇るところまではまだ見れないまま、昨夜は窓を閉めました。でも、あのきらきらした姿に気付かずにはいられなくなる季節も、もうすぐです。
楽しみにしておこう。

秋空の香り
   マートル 1滴
   サイプレス 1滴
   オレンジ・スイート 1滴
   
by leaf-child0802 | 2009-09-11 14:56 | 季節の便り
<< 忘れないでいたいこと 怖くない、怖くない。 >>