この週末この辺りは秋祭りだったらしく、昨日広尾の商店街へ買い物に行ったら、おみこしが出ていました。
六本木~麻布~広尾というと、外国人と時代の最先端で儲けたお金持ちが住んでる・・・みたいなイメージがあるかもしれませんが、古くからの下町っぽいところもちゃんと残っているんです。集まっている人たちの、はっぴの藍の多くが、洗いこまれて褪せているのが、いい感じでした。
変わって今日は、日課ならぬ月課にしているアート巡りのお話を。
今月は、東京都写真美術館に行ってきました。
贅沢なテーマパークみたいな、そつのないキラキラ加減に整えられた恵比寿ガーデンプレイスの端っこに、なんだかこっそり、という感じにある美術館。
↑エントランスはこんな感じ。
↑タワーの裏にある、こんな通路を抜けると辿り着きます。これは美術館のエントランスの辺りから振り返った眺め。
「心の眼 稲越功一の写真」をみてきました。
稲越功一さんを知ったのは、村上春樹さんとのコラボレーションによるフォト文庫「使いみちのない風景」でした。なんだか素敵な静かな感じがして、ジャケ買いならぬ表紙買いしてしまった本なのですが、「旅」についての村上さんのエッセイも、そこにクールに、だけどしっくりと寄り添っている稲越さんの写真も、とても心地よくて、ついお風呂にまで持って入ってしまったお気に入りの本です。(だからちょっとだけ、湿気染みが付いてしまっています・・・。)中公文庫から出ているんですが、500円ちょっとで買えるし、オススメです。
写真にはあまり詳しくない分、純粋に好きかどうかで選んで観ている私ですが、静かな写真、が好きです。数多を知るものだからこそ持てる、深かったり、潔かったり、優しかったり、澄んでいたりする寡黙さがある写真。
稲越さんの作品の中でも、カラー写真がとても好きです。
それは鮮明でも艶やかでもなくて、淡々としてどこか「リアル」から半歩程だけ身を引いたような感じがあるのだけれど、だからこそ、光や空気の中にいる微細な水の滴もチリたちをも、すくい上げてあげられているんだなあ・・・という安心があるんです。
白は白じゃなくて、黒は黒じゃなくて、青は青じゃなくて、黄色は黄色じゃなくて、もっと色々であっていい・・・そんな色々が、決して取り乱すことなくきちんと落ち着いてそこにいられるような、そんなきれいなゆとりがそこにはあって、いつまでも観ていられます。
実は稲越さんは、今年の2月25日に急逝されてしまったのだそうです。
それでもこうして、わたしたちがみていられることに、感謝。
佳き寡黙さの香り
マジョラム・スイート 2滴
カモミール・ジャーマン 1滴
ラベンダー 2滴