昨夜の歌舞伎座。
座席でお弁当を食べることも楽しみのひとつなので、歌舞伎を観に行くのはお昼をはさんだ時間にすることが多くて、宵闇の中の姿がこんなに素敵だなんて、今までちゃんと気付いていませんでした。
残念ながら昨夜は、歌舞伎を観に行ったのではなく、すぐ前にある東銀座の駅が、用事のあった場所に行くのに、一番便利だった・・・というだけだったのですが。
およそ風情はない地下鉄の構内から階段を上って抜け出した途端現れた、幽玄と言っていいくらいに艶やかな姿。そこに歌舞伎座があることは当然知っていて、思いがけなかったワケではまったくなかったはずなのに、思わず息をのんでしまいました。
そのまま通り過ぎてしまうにはあまりに惜しい気がして、撮ってみました。
ご存知の方も多いと思いますが、こんな素敵な歌舞伎座は、もうすぐ取り壊されてしまうのです。
↑こんな掲示板が設置されていました。あと66日・・・。
建築の規準、とか、スケールとかモジュールといったものが、今とは違っていたんだな、と感じさせられてしまう狭さはあるし。
省エネ、の観点からは、優れているとは言えないのだろうし。
いろんなところに、最新の建物では感じることのない不便さが、あるのだろうし。
土地をもっと活用したい松竹の思惑もあるのだろうし。
・・・事情は、わかってはいるのですが、やっぱり惜しい!!
そもそも日本には、古い建物を人々が日常的にずっと使い続ける、という文化がありません。scrap+buildが、ずいぶんと気軽になされているような感じもします。
残念で、意外なことのようにも思います。とても洗練されたアニミズムの伝統があるのに・・・。
人形供養とか、針供養とか、筆供養とか・・・モノにもいのちがある。魂が宿っている。そんな風に自然に感じて、受け容れてきた日本人。
そして、モノのいのちとは、魂とは、すなわち人間の想いでもあります。
人間が、何かを大切に想うことのエネルギー。心の、意識の、エネルギー。
たくさんの人たちの思い入れを、ずっと受け続けている歌舞伎座。
そこに堆積した想いたちが、時の重みも加わることで変質し、美しい石のようになって、光っている。
そんな風にあるようになったものを、大切に磨いていくのでは、駄目なのかなあ…と思わずにはいられません。
歌舞伎を星で書く/描くなら・・・
人々の視線を集めて輝き、ドラマティックによろこびを提供する歌舞伎役者さんたちは、獅子座/太陽的。
かつ、想像の世界へと自らを明け渡しながら、人々を誘っていくには、魚座/海王星のエネルギーも欠かせません。
楽しみを通して教えもする、というところには、木星的なものを感じますが、伝統を重んじ、ほんものであるということに厳しい姿勢で臨んでいるところは、山羊座/土星的です。
歌舞伎の香り
パイン 2滴
ミルラ 1滴
エレミ 2滴